邪魔な特許を「潰す」ためには、拒絶あるいは無効とすべき理由を見つけることが必要で、
基本となるのは新規性欠如や進歩性欠如の理由があるかどうかである。
新規性や進歩性は、先行技術文献との対比によって判断されるので、
特許技術に関連する文献を見つけるための「先行技術文献調査」が必須となる。
邪魔な特許を潰すためには、情報提供、異議申立、それに無効審判の制度を利用することになるが、拒絶あるいは無効とすべき理由がそれぞれ定められている。
請求範囲や明細書の記載不備(サポート要件違反・実施可能要件違反)で争われるケースも多く見受けられる。
しかし、基本となるのは、新規性欠如や進歩性欠如に該当するかどうかの検討である。
新規性や進歩性は、発明と先行技術との対比によって判断されるので、先行技術の文献調査が必要になる。
特許庁の審査においては、通常、外部機関に依頼し作成された先行技術文献の検索報告書と、審査官自身の検索結果をもとに判断される。
検索の考え方や手法は、以下に詳細に説明されている。
平成30年度調査業務実施者育成研修 INPITテキスト
検索の考え方と検索報告書の作成 http://www.inpit.go.jp/content/100798506.pdf
特許庁調査業務実施者育成研修テキスト
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/searchportal/htdocs/search-portal/top.html
先行技術文献調査実務[第4版] http://www.inpit.go.jp/jinzai/kensyu/kyozai/cjitumu.html
検索手法は、特許分類(Fターム、FI)を用いた検索と、
単語(キーワードを)用いた検索の2つの手法があり、
典型的には、
式1.FI、Fタームで、ある程度絞り込む。
式2.式1で作成した母集合に対して「ワードを用いた検索」を行い、
スクリーニングしやすい件数に絞る。
と説明されている。
特許分類は、各種技術を技術分野ごとに体系的に分類したもので、
各分類にインデックス(記号)が付与されている。
インデックスを用いて検索することにより、多くの先行する特許文献の中から、
類似技術や関連技術を簡単に抽出可能とする、
新規性や進歩性を評価するための特許文献検索用サーチツールである。
(参考)
特許分類の知識
特許分類について http://www.tsunoda-patent.com/doc/2016_06INFOSTA.pdf
主な特許分類には、国際的な分類として、
IPC(国際特許分類、International Patent Classification)や
CPC(共同特許分類、Cooperative Patent Classification)がある。
FI(File Index)やFターム(File Forming Term)は、日本独自の特許分類である。
FIはIPCをベースにしたものだが、
Fタームは、技術分野毎に種々の技術観点から細区分したもの。
Fタームは、主として複数組み合わせて用いることを想定しており、
複数のFタームの論理積によって、
「先行技術文献をスクリーニングできる程度の件数
(技術分野に応じて数十件~数百件程度)に絞り込むことを目指している」
と説明されている。
(参考)
特許分類の概要とそれらを用いた先行技術調査~IPC、FI、Fターム編~(平成30年度)
http://www.inpit.go.jp/jinzai/kensyu/kyozai/outlink00057.html
特許分類の概要とそれらを用いた先行技術調査~IPC、FI、Fターム編~(平成30年度)
http://www.inpit.go.jp/content/100798564.pdf
特許分類の概要とそれらを用いた先行技術文献調査~外国特許文献調査における特許分類編~http://www.inpit.go.jp/content/100798582.pdf
米国特許商標庁(USPTO)やEspacenet(欧州特許庁が提供する特許検索サービス)のホームページには、先行特許文献の調査の考え方が示されている。
いずれも、特許分類をベースとした検索方法が説明されている。
(参考)
Seven Step Strategy
Patent Search Strategies and Techniques Using Espacenet