【21】特許文献調査 ~検索式の作成は、「特許分類」と「ワード」と「時期的範囲」との掛け合わせ~

特許文献調査において、検索式は、「特許分類」、「ワード」および「時期的範囲」の3つの検索キーを選択し、「特許分類」と「ワード」と「時期的範囲」とを掛け合わせて作成される。

無効文献調査も、一般的な先行特許調査と検索の基本においては変わらず、特許特有の知識が必要となる。

これから特許文献調査について述べていくが、特許資料調査のイロハを説明する考えはない(特許文献は、ここでは、主に公開公報(公表、再公表を含む)、特許公報、特許公告公報を指す。)

特許文献の検索手法については、優れた成書が多数刊行されていることもあるが、もう一つは、成書などで詳しく説明されている検索式の立て方は、人手によらなくても、AIでできる時代がもう来ているように思う。

となると、これからは、検索に必要な前提知識もそれほど必要でないだろうし、AIで出来ることと、AIでは難しいことを知っておくことの方が重要と考えている。

AIでの特許文献調査、特に無効資料調査ができるのかどうかを考えていく上で必要と思われる前提知識の観点から特許調査を見て、その後に、AIを使った特許資料調査の現状をまとめてみたい。

特許文献検索の特徴

特許文献検索の方法について前提知識を含めて、以下のサイトに詳しく説明されている。

独立行政法人工業所有権情報・研修館 検索の考え方と検索報告書の作成 https://www.inpit.go.jp/jinzai/kensyu/kyozai/kensaku.html

平成30年度調査業務実施者育成研修 INPITテキスト 検索の考え方と検索報告書の作成【本編】 https://www.inpit.go.jp/content/100798506.pdf

また、多数の成書が刊行されている。(例えば、本ブログ【8】無効資料調査とは http://patent.mfworks.info/2018/10/13/post-1273/

特許文献検索は、一般的な技術資料の検索とはいくつかの点で異なっている。

ひとつは、特許文献は、体系的な「特許分類」が付与されている文献である。

それゆえ、一般的な技術文献の検索が「ワード」を用いるのと違って、「特許分類」を検索キーとする検索が特許文献調査の主となる(特許分類については、以前にも取り上げた。【4】「潰す」ためには、先行技術文献調査が必須 http://patent.mfworks.info/2018/08/19/post-975/)。

もう一つは、テキスト部分の全文検索が可能であるということである。

技術文献の検索では、一般に要約文や抄録文を対象とした部分的な検索しかできないのに対して、特許文献については、全文検索が可能である。

そうなると、特許文献の調査は、「特許分類」と「ワード」を検索キーとする検索式を作成し、検索対象を全文にして検索することが、特許資料の特徴を最も活かした調査ということになる(ただし、ヒット件数が多過ぎる場合には、絞り込みが必要になる)。

検索式に入れるべき「特許分類」と「ワード」は、例えば、JPlatPatでは、独立したタブとして「検索キー」があり、各特許ごとに「特許分類」と「審査官フリーワード」が一覧できるので、それらを参考にして、選択する方法がある。

一般的な注意事項だが、「特許分類」の選択において気をつけなければならないのが、適切に特許分類が付与されていない場合もあり得ることである。

また、「ワード」については、同義語、類義語、想起語など関連語も含めて、用語を選択していくことが必要である。

検索式作成の考え方

『無効審判で新規性なしと判断された事件から考察する精度の高い調査方法』
https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201401/jpaapatent201401_043-058.pdf)というタイトルの論文には、

検索式が不適切であった要因として、

(1)検索対象を限定し過ぎ、

(2)特許分類が適切でなかった、

(3)キーワードが適切でなかった、

の3点が挙げられている。(2)と(3)は、上記した注意事項と関連する。

(1)に関連して、特許文献を対象に無効資料調査を行う時は、無効化したい特許に付与された特許分類のひとつ上位概念の「特許分類」と、関連語を含めた「ワード」との積集合を考えるのも一つの方法である。

「ワード」のみの積集合で絞り込みをかけることも一つの方法である。

「ワード」の選択については、「用語集」だけに頼らず、「試し検索」を行って、漏れている用語がないか確認する進め方が有効な場合がある。

また、「時期的範囲の設定」も特許文献調査で留意すべきことである。

新規性や進歩性を判断する際に、特許出願日前に公知であったかどうかが問題になるので、当該特許の公開日ベースで期間設定する必要がある(なお、出願日ベースの場合もある)。

(時期的範囲については、【16】「先行」技術とは? ~資料の公開日の証明~

「先行技術」として、1.広く配布された刊行物(頒布された刊行物)、 2.電気回線(インターネッ...
で詳しく取り上げた。)

AIと特許文献調査

検索式の立て方について、具体的な説明をしてこなかったが、それは、AI(人工知能)で代替可能だと思えるからである。

特許庁では、現在、人工知能技術を「特許分類付与」と「先行技術調査」の業務支援に活用する取り組みがなされている。

具体的には、専門官が行っていた「特許分類付与」業務について、出願書類のテキスト情報から、AIが特許分類(FT・Fターム)の候補を提示する技術の導入検討が進められている。

また、「先行技術調査」業務においては、検索式の用語の拡張やヒット箇所のハイライト表示などが検討されているようである。

また、『知財インテリジェンスサービス(試⾏)』(平成30年5⽉ 特許庁総務部企画調査課

https://www.jpo.go.jp/support/general/ip-intelligence/index.html)には、様々な特許情報解析ソフトが紹介されており、今後、AIによる検索式作成(支援)が、日常的なものになっていくと予想される。