【29】無効資料調査 ~海外特許資料調査~

日本特許資料で有効な無効資料が見つからない場合、海外特許資料を調査する。海外特許資料には、特許分類が付与されていること及び主要国は全文検索が可能なことから、一般的な科学技術文献よりも、漏れの少ない体系的な検索が期待できる。

海外特許調査で用いる検索式は、特許分類と検索ワードと時期的範囲の掛け合わせで作成する点で日本特許調査と同じである。しかし、日本特許調査で使った検索式をもとにして、海外特許調査を行う場合に、特許分類と検索キーワードでそれぞれで留意すべき点がある。

日本特許資料で有効な無効資料が見つからない場合、次に調査すべき対象は海外特許資料である。

特許文献には、特許分類が付与されていること及び主要国は、全文検索が可能なことから、一般的な科学技術文献よりも、漏れの少ない体系的な検索が可能であるためである。

特許庁の審査段階での先行文献調査にも海外特許の調査が含まれる

(”検索の考え方と検索報告書の作成” https://www.inpit.go.jp/content/100798506.pdf

”配布資料” https://www.inpit.go.jp/content/100798507.pdf)。

海外特許調査の基本的な考え方は、日本特許調査と同じで、特許分類と検索ワードと時期的範囲の掛け合わせであるhttp://patent.mfworks.info/2019/05/20/post-2268/)。

調査を行うにあたって、どのデータベースを使って検索するかが問題になる。

INPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)のホームページには、海外特許調査が行える検索ツールが紹介されている(”どんなツールを使えば調査できるか?” https://www.inpit.go.jp/how2use/research.html)。

具体的には、

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0100)、

Espacenet Patent search(https://worldwide.espacenet.com/)、

WIPO PATENTSCOPE(https://patentscope2.wipo.int/search/ja/search.jsf)などの公的機関が提供する無料データベースが紹介されている。

海外特許調査も、検索式は、特許分類と検索ワードと時期的範囲の掛け合わせで作成する点で日本特許調査と同じである。

しかし、日本特許調査で使った検索式をもとに、海外特許調査を行う場合には、特許分類と検索キーワードのそれぞれで留意すべき点がある。

留意点(1)特許分類確認

日本特許は、国際特許分類(IPC)に加えて、日本独自の分類体系(FI、Fターム)でも分類されている(http://patent.mfworks.info/2018/08/19/post-975/)。

日本独自の特許分類体系は、詳細に分類が展開されており、また日本の技術実態が考慮されており、そのため、FI、Fタームに基づいて検索式を作成し、調査する方法が推奨されている。

しかし、海外特許は、CPCなどの体系で分類されるようになってきており、FIやFタームを使った検索式をそのまま用いて、海外特許資料を調査することはできない。

海外特許資料を特許分類で調査する方法については、例えば、以下のウエブページが参考になるが(”海外の特許を特許分類から調べる” https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-381.php)、日本の特許分類と海外の特許分類の対応関係を参照するツールもある(https://www.jpo.go.jp/cgi/cgi-bin/search-portal/narabe_tool/narabe.cgi)。

FIやFタームの分類と、例えばCPCの分類が同じ観点で展開されている場合は、海外特許調査においても、対応関係を参照すれば、FIやFタームを使った検索式を活用できると考えられる。

しかし、異なった観点で展開されている場合もあるので、参照で出てきた対応特許分類を機械的に用いて調査すると、調査漏れの可能性が懸念される。

調査対象国で採用されている特許分類の展開の考え方が日本独自の特許分類と同じかどうかの確認が必要である。

また、検索に用いる特許分類が、調査対象国において、どうように付与されているかの運用(付与の傾向など)について、試し検索を行って、対応した特許分類であることを確認しておいた方がよい。

留意点(2)検索ワードの翻訳

海外特許調査において、検索ワードを用いた検索を行う場合には、当然、調査対象国の言語に翻訳する必要がある。

上記した“検索の考え方と検索報告書の作成”(https://www.inpit.go.jp/content/100798506.pdf)には、“一次文献が非英語の場合は、英文抄録や和文抄録がある特許文献であっても原則として調査範囲に含まない。”と書かれている。

誤訳のリスクがある機械翻訳を使わず、原文の意味を直接理解できる可能性があるのは、現時点では、“英語“のみという意味と思われる。

しかし、英語で出願された特許文献調査であっても、日本特許調査で使用した検索ワードの訳語の的確さについて、十分に注意しておいた方がよい。

一つの日本語に対して、複数の英語の訳語がある場合や、訳語に複数の意味がある場合が、あり得る。

そうした懸念がある場合には、使用する辞書は、出来るだけ専門用語の辞書を使い、訳語は再度日本語に翻訳して意味を確認しておく方がよい。

また、訳語が物品であれば、GOOGLEで画像検索を行い、ヒットした画像を見て、訳語が適切かどうか確認する方法もある。

さらに、実際に調査対象国のデータベースで、英語の訳語を用いた検索を行って、適切な訳語かどうか確認しておいた方がよい。明細書中に別の訳語が記載されている可能性もあるので、検索語漏れ防止のため、技術的関連性の高い特許文献は、検索式作成前に一通り目を通しておきたい。

日本特許調査の際に、日本独特の技術用語や日本語独特の言い回しがある場合には、一対一で対応するような訳語がないこともあり得る。その場合は、特許分類による試し検索を行って技術的関連性の高い特許の明細書を見て、適切と思われる単語や言い回しを抽出することを考えてみる。

非英語の言語の場合、適当な辞書がない場合は、直接翻訳する方法と、いったん英語に翻訳し、英語から当該言語に翻訳する方法との2通りで訳語を選択した方が無難である。