特許を巡る争い<4>アサヒビール・非発酵ビールテイスト飲料特許

アサヒビール株式会社の特許第6105992号は、嗜好性を向上させるために、非発酵ビールテイスト飲料(ノンアルビール)の含硫化合物の濃度を低減させる製造方法に関する。異議申立されたが、アサヒビールは製造条件の一部を削除する訂正を行い、進歩性有りと判断され、権利維持された。

アサヒビール株式会社の特許第6105992号「非発酵ビールテイスト飲料及びその製造方法」を取り上げる。

特許第6105992号の特許請求の範囲は、以下のようである(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/PU/JPB_6105922/03BCFADEF5E2B5B17C0B7BA77EAAAB3C)。

【請求項1】

非発酵ビールテイスト飲料の製造方法であって、

加熱部に銅を含む容器中、

pH5.0以上の糖溶液を煮沸する煮沸工程を有し、

前記煮沸工程後、糖溶液を10℃以下に冷却した後、

又は糖溶液を、銅を含まない容器に移送した後に、

pHを4.0未満に調整する

非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。

(【請求項2】以下、省略)

本特許は、ノンアルコールビールテイスト飲料において腐った野菜臭を想起させる臭気を引き起こし、嗜好性を低下させることが知られている含硫化合物ジメチルトリスルフィド(DMTS)の濃度を低減する方法に関するものである。

公開時の特許請求の範囲は、以下のようである(特開2014-124124 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/PU/JPB_6105922/03BCFADEF5E2B5B17C0B7BA77EAAAB3C)。

【請求項1】

非発酵ビールテイスト飲料の製造方法であって、

加熱部に銅を含む容器中、

pH4.0以上の糖溶液を煮沸する煮沸工程を有する

非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。

(【請求項2】以下、省略)

煮沸工程など製造工程の条件の追加と、飲料のpHを限定することによって、特許査定されている。

特許公報発行日(平成29年3月29日)の半年後(平成29年9月29日)に、一個人から異議申立された(異議2017-700926)。

審理の結論は、以下のようであった。

特許第6105922号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。

特許第6105922号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。

訂正された特許請求の範囲は、以下のようであった。

【請求項1】

非発酵ビールテイスト飲料の製造方法であって、

加熱部に銅を含む容器中、

pH5.0以上の糖溶液を煮沸する煮沸工程を有し、

前記煮沸工程後、糖溶液を、銅を含まない容器に移送した後に、

pHを4.0未満に調整する

非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。

(【請求項2】以下、省略)

「糖溶液を10℃以下に冷却した後」の部分を削除する訂正であった。

審理では、進歩性欠如について検討された。

訂正請求項1について、本特許と国際公開第2011/145671号とは、以下の点で一致するとした。

「非発酵ビールテイスト飲料の製造方法であって、

加熱部を有する容器中、

糖溶液を煮沸する煮沸工程を有し、

前記煮沸工程後、糖溶液を、

pHを4.0未満に調整する

非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。」

しかし、

国際公開第2011/145671号に記載された発明においては、用いている容器の材質については不明で、銅を含む容器を用いているとは必ずしも言えない点で相違している。

また、本出願前周知慣用技術(技術常識)から見て、銅容器使用に関する記載や示唆はないとした。

結論として、本特許発明は、当業者が容易に発明をすることができたものでない(進歩性有)と判断され、権利維持された。